感情に気づき、見つめることで、感情を活用する準備を整える

感情に向き合うことで得られるものにはどんなことがあるかご存じでしょうか。
安心感、幸福感、自己コントロール感、など、ポジティブな効果がとっても多くあります。

しかし、感情に向きあうことに一種の恐れを感じる人がいるのも事実。

「感情に飲み込まれそうで怖い。」
「感情を感じると、奈落のそこに落ちる感じで、戻ってこれないかもしれない」

これらは、私がカウンセリングで実際に伺った、感情を感じることへの恐れの言葉です。

感情への気付きを高めることは、ほとんどの場合とてもいいことです。感じることの恐さを乗り越えて、安全に感情を感じていくために必要なことをお伝えしていこうと思います。

普段、カウンセリングの現場で感情を扱っている臨床心理士の視点からお伝えします。

日常生活の中で簡単にできることからスタートすることが大切です。そんな内容も含んでいますので、ぜひ最後までお読みください。

感情に気づくためのヒント

日頃からさまざまな感情が沸き起こっては、時間の経過でそのうち消えていきます。

一つ一つの感情すべてを感じ切るということはできなくても、とても大切な感情についてはしっかり向き合っていきたいものです。

そのためにも、まずは自分がどんな感情を感じているのかに気づくことが大切です。

言葉にできないような複雑な気持ちもあると思いますが、そんな感情こそ、言葉にせずとも感じることが必要になります。

感情に気づくためのひヒントは、ずばりこれです。

「身体感覚」

感情は身体感覚であり、生理的反応であり、内臓感覚を伴うものとお伝えしたことがありますが、目に見えない感情を感じるために、目に見える身体感覚に意識を向けることがとてもいい方法になります。

身体感覚に注意を向けることで、感情に気づくことができるようになったり、冷静に感情を調整する能力も大幅にアップすると思います。

では、どうやって身体感覚に注意を向けるのか、具体的にどうすればいいのか、について少し書いて行こうと思います。

身体感覚への意識の向け方

トレーニングすることでより感度を高くして、感情に気づくことができるようになります。そのためには、日常生活で起こることをとことん活用することです。実践することで、どんどんできるようになるでしょう。

日常的に感じるイラっとする感じ、悲しみ、恐さや不安を、その瞬間に感じたり、振り返ったりする機会を多く持つようにします。

そのときに役に立つのが、以下のように落ち着きを取り戻す方法を持っているかどうかだと思います。

・呼吸法
・グラウンディング
・一人で冷静になったりくつろげる時間の確保
・自分の気持ちを受け止めてくれるパートナーや家族や友人の存在
・自分の気分を高めてくれる楽しいこと

そして、感情を感じるトレーニングは、ぜひポジティブな感情から実験的にやってみることをおすすめします。

例えば、今まの経験で一番楽しかったこと、嬉しかったこと、大笑いしたこと、感謝や愛を感じたこと、などを思い起こしてみてください。

そのときの身体の感覚の変化の意識を向けてみます。

何か感じるかもしれないし、何も感じないかもしれません。
感じなくてもOKなので、その状態にとどまってみてください。

こんなふうに、身体の感覚に意識を向ける機会や時間が多くればそれだけ気づくことも多くなってくると思います。

爆発する感情に抗うことができるのか

感情を感じるのは良いことなのは分かったが、爆発するように出てくる感情にどう対処すればいいのか分からない。

たとえば、瞬間的に出てくる怒りの感情。抑えることができず、怒鳴ったり大きな声を出したり、モノにあたってしまったり、などの行動を改善したい。でもできない。

こんな相談を受けることも多くあります。

感情はコントロールできない

そんな時は、まず、「感情はコントロールできない」という視点を持ってもらうようにしています。

感情は自然と沸き起こるもので、感情そのものが出てこないようにすることは不可能。ただ、行動のコントロールは積極的にした方がよい。感情はあるが、行動をコントロールしていく。そのためにも、感情に気づき、調整していくことが必要になります。

最初はうまくできなくても、意識を向けて、トレーニングをしていくと、じょじょに出来るようになってくるでしょう。

感情を見つめる

感情には種類や傾向があります。

一次的な感情(または中核的な感情)、二次的な感情。
そして、適応的な感情、不適応的な感情など。

自分が今感じている感情が何かを分類することに意味があるわけではありません。しかし、少なくとも、感情の種類や特性を知って、自分が感じているものが以下にあてはまるかどうかは知っておいて損はないと思います。
・中核的で一次的な感情かそうでないのか
・適応的かそうでないのか

特にネガティブに感じる以下のような感情については、そのことが大切になってきます。

怒り
悲しみ
恐怖
不安
恥    など

おわりに

いかがでしたでしょうか。感情に気づくことの大切さとその効用などは分かっていただけたと思います。

知識があっても実際の生活で役に立ったと感じることは少ないと思います。実践して、自分の生活に活用できたときに初めてその絶大な効果を感じることができると思います。

たとえ歩みは小さくても、最初の一歩を踏み出すことが大切です。そのうち、大きな前進に気づくことができると思います。

注)感情を感じることの効果を伝えてまいりましたが、病態によっては、感情を感じたり、内省的なカウンセリングの悪い影響があることがあります。深いトラウマや心的外傷体験がある場合も、急ぎすぎず慎重にカウンセリングを進める必要があります。

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