家族の双極性障害とうまく付き合っていく方法

双極性障害は、うつと躁の状態を繰り返すという精神疾患の名称です。

うつと躁の状態を繰り返すところに特徴があり、患者や家族は苦労が多い疾患です。

最近は脳科学の発展から、双極性障害の脳の気質的な変化が分かってきており、早期発見や治療に活かしていく研究が進んでいます。

こちらの疾患に関する記事もぜひ参考にしてみてください。

双極性障害

今回の記事では、家族の立場から、どのように双極性障害と付き合っていけばよいのか、その心構え、ヒントや参考になることを書いていこうと思います。

簡単にできることだけではないと思いますが、やはり知識として持っていた方が何かの助けになるかなと考え、お伝えしようと思いました。

双極性障害の家族が持ちたい5つの心構え

1 双極性障害の影響と本人の人格を分けて考える

双極性障害は日常生活や社会生活に様々な影響を及ぼします。病気自体が大きなストレスであり、将来の目標や希望を諦めざるをえなかったり、将来や生活の不安に焦りを感じたりなど不条理な運命に怒りを感じていることも多くあるかもしれません。

双極性障害の程度や症状の出かたはそれぞれです。不安や焦燥が強くなったり、睡眠や生活リズムへの影響、過食-嘔吐を繰り返したりという摂食障害や他との合併を見せることもあります。

また、良好な人間関係を構築することが苦手だという人も多くいらっしゃいます。そんな中で、日頃から接している家族に、思うようにいかない人生や病気に対する怒りの感情が向けられることは、簡単に想像できます。

汚い言葉や怒りの感情が向けられた時に家族はいったいどうすればいいのでしょうか。

家族だって人間です。

売り言葉に買い言葉で、感情的に対処してしまう場合もあるかもしれません。しかし、心掛けたい重要な点として、患者の言動はもともとの患者の性格や特性ではなく、病気の影響を受けているんだ、と強く認識することです。

病気を患っている人は悪くない、 病気が悪い!!

このスタンスを常に意識して接する、この見方を言葉にして伝えてあげてもいいでしょう。家族の方が感じる負担が多少は軽くなったり、怒りやイライラが収まる効果があるかもしれません。

また、双極性障害は、統合失調症などと比較して、病気だとは思われないケースもあります。言ってることが、筋が通っている場合も多いからです。そのため、明確に双極性障害という疾患の影響だと意識することは、多いに助けになると思います。

2 自然体で接する

精神疾患を患っている方の多くは、非常に敏感です。相手がどんな風に自分のことを考えているのかと、気にする方が多いと思います。

双極性障害の方も例外ではないと思います。家族であっても気を遣うことは必要ですが、できるだけ壁を作らずに自然に接するようにした方がいいように感じます。

なぜなら、気を遣われすぎている、壁がある、などを敏感に察するからです。多くの人にとって、最初は精神疾患が何か得体の知れないもののように感じることもあるかもしれせん。

私は多くの精神疾患の方のカウンセリングを通して、本当にやさしくて繊細な方が多いなという印象を持っています。適切な配慮は必要なことなので、気を遣わないということではなく、壁を作らないという意識で接することをお勧めしています。

3 期待しない

人間関係の多くの問題、コミュニケーションのずれや不和の根幹にあるテーマとして、相手への期待があります。そして、その期待に裏にあるのが、自分の奥底にある価値観です。

日常の多くの場面で自分が相手にどんな期待をしているのかをチェックしてみてください。驚くほど多くの期待を発見することになると思います。

これは、双極性障害をはじめとする精神疾患に罹患している家族に対してのみではなく、広く人間関係一般にいえることでもあります。何かしらの期待があると、その期待が裏切られ、落胆し残念な気持ちになる。そして、その気持ちが相手への怒りとなるケースもしばしばみられます。健全な期待は大いに結構なんですが、過度な期待は禁物だと感じます。

そして、双極性障害を患っている方に関しては、その期待の大きさは、健常な人と比べられるものではありません。健常な人が出来て当たり前な言動や所作が、難しいのです。繰り返しになるかもしれませんが、それはその人が悪いのではなく、病気の影響です。最初から過度な期待がなければ、その家族はイライラや怒りを感じるタイミングも少なくなると思います。

その結果、穏やかに家族同士で接する機会が増えるのではないでしょうか。

4 出来る限り、思いやりを表現する

思いやりを表現する、というのは、メッセージとして、「あなたを大切に思っている」と、直接的にも間接的にも伝えることです。これは、相手のみならず、自分にもよい影響があると思います。

双極性障害を患っている方やうつ病などの精神疾患の方は、自責の念が非常に強い方が多いと思います。いつも何かしら、自分を責めています。そんな中で家族からも責められると想像してみてください。

かなり辛い状態になると容易に考えられます。ぜひ、「家族はあなたの味方なんだよ。」というメッセージを伝えてあげてください。

5 自分の無力さを責めない

双極性障害という病気に苦しめられるのは当事者だけでなく、家族も同様です。家族をなんとかしたい、助けたい、全員が充実した生活を送りたい、と思うのはいたって自然です。

そのために、医師や支援機関に相談したり、自分なりにあれこれ対策を考えて実行してみたり、いろいろと試されることもあるでしょう。しかし、なかなか病状の回復などが目に見える形で表れてこないケースも多いと思います。

そんな時、どうしても感じてしまうのが無力感だと思います。なぜ良くならないのか、どうして苦しみから解放させてあげられないのか、と思い悩むこともあるかもしれません。

しかし、そんな考えが頭をよぎっても、何もできないと、自分を責めないでください。その無力感から、まずは、自分を守ってあげてください。なんとかしたい、家族を守りたい、良くなりたい、という思い自体が素晴らしく、美しいものだと私は感じます。

レジリエンスの力を信じる

レジリエンスという言葉を聞いたことがあるでしょうか。レジリエンスとは精神的な回復力、耐久力を意味します。

大学院時代に私がサンフランシスコで心理学の授業を受けた時に、教授が教えてくれた、印象に残った教えがありました。

「レジリエンスは一人一人に備わっているもので、全ての人が持っているもの。カウンセラーやセラピストは、レジリエンスが目の前のクライアントにも必ずあると信じる、そのこと自体が、回復につながっていくんだ。」

レジリエンスとは、精神的な復元力や回復力のことです。

自分の無力感を感じるよりも、家族のレジリエンスを信じる。双極性障害は確かに、完治が難しい疾患で、長く付き合っていかなければいけないものではあります。

しかし、それでも、家族のレジリエンス、回復する力を信じることは、回復の大きなサポートになると思います。

おわりに

いかがでしたでしょうか。双極性障害の家族が持っておきたい心構えについてお伝えしてきました。一度に全部は難しいかもしれませんが、完璧を目指さすに少しずつ取り組むだけでも、良い変化があると思います。

カウンセリングでは、家族焦点化療法やその他の家族療法の観点を取り入れ、また心理教育的な関わりを持ちながら、双極性障害の家族の方といかに接していかに付き合っていくのかについて直接的なサポートを行います。

家族の方の苦労や心労はとても大きなものがあります。その気持ちに波長を合わせた感情的な支援も行います。

問題や悩みを家族だけで抱え込まなことがとても大切だと感じます。カウンセリングを受けることで家族関係の改善の一助に成れればと考えております。

 

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