アダルトチルドレンとは?原因や特徴・問題点を解説します
「アダルトチルドレン」とは、もとはアルコール依存症を親に持つ子どもという意味で使われていた言葉ですが、広く機能不全の家族のもとで育った人として使われるケースが多くなっています。
機能不全家族とは?
自尊心の低下、自己不全感など、いわゆる「生きづらさ」としての様々な影響が見られます。
ただし、「アダルトチルドレン」とは、病名でも診断名でもなく、その基準や定義においても特に決まったものがなくあいまいな概念です。
一つ言えることは、その人自身が生きづらさを感じているということ、その辛さに対する癒しと回復が必要であるということだと考えています。
実際に、PTSD、不安障害、うつ病、愛着障害、嗜癖行動、依存症、パーソナリティ障害など様々な精神疾患をもつケースもあり、その影響ははかりしれません。
アダルトチルドレンのチェック
アダルトチルドレンは病名でも診断名でもありません。判定するためのテストやチェックのツールの研究は多くはなく発展していない分野です。
しかし、本やネットの情報からその特徴を知り、自分がそうではないかと考える人は多くいらっしゃるのではないでしょか。
家族の状態やご自身の状態から、アダルトチルドレンかどうか判断の参考にしていただければと思います。
アダルトチルドレンの家族の状態とは
大きく以下のような家族の状態が考えられます。
- 虐待
- 親や家族の精神疾患
- 感情的で攻撃的なコミュニケーション
- 硬直的で、ピリピリしたムード、お互いを無視しあうようなコミュニケーション
虐待
虐待には、身体的虐待、心理的虐待、性的虐待、ネグレクトがあります。いずれも子どもに大きな影響を与える可能性があります。
親や家族の精神疾患
ネグレクトなどの虐待につながりやすいと思います。親との安定的な情緒の交流がしづらい環境があります。
感情的で攻撃的なコミュニケーション
激しい夫婦けんかのイメージですね。現在では、子どもの面前でのけんかは心理的虐待ととられることがあります。
硬直的で、ピリピリしたムード、お互いを無視しあうようなコミュニケーション
上記の激しい夫婦けんかではなく、冷たいケンカという感じです。このような環境も子どもにとってはとても苦しいものです。
いずれも、あたたかで受容的で養育的な環境とは正反対なものです。
しかし、このような環境であったとしても、すべての人が生きづらさを抱えているわけではありません。
困難を乗り越えて、糧として、自分の人生にプラスに転化して生活できている人も多くいらっしゃるのも事実です。
アダルトチルドレンの特徴
家族の状態と合わせて、ご自身がどのような状態かを確認してみてください。アダルトチルドレンの特徴に当てはまるかもしれません。
- 自信が持てない
- 感情の処理がうまくできない
- 自己犠牲的
- 自分に対して批判的
- 罪悪感をもちやすい
- 依存的または支配的
- 抑うつ的で無力感があり、楽しめない
自信が持てない
自分に自信がないので、他者からの評価をとても気にする傾向にあると思います。そのために、傷つきやすかったり、低い評価に強い怒りが出てくることがあります。
感情の処理がうまくできない
感情の波が激しく、うまく処理できないことがあります。
自己犠牲的
他の人の期待に応えようとするあまり、自分を犠牲にして頑張ってしまう傾向があります。「NO」が言えず、意識的にも無意識的にも頑張ってしまうことがあります。
自分に対して批判的
自尊感情が低く、自分のことを批判的にみてしまいます。
罪悪感をもちやすい
自分の責任ではないことにも、自分が悪いと感じやすい傾向があります。
依存的または支配的
他者との関係で、依存的であるか、逆に支配的である場合があります。
抑うつ的で無力感があり、楽しめない
抑うつ的な状態が続き、何も楽しめないことがあります。
アダルトチルドレンの問題
アダルトチルドレンは様々な問題を抱えやすくなります。
- 精神障害を発症しやすい
- 自己否定的で自信がもてない
- 良好な人間関係がもてない
- 自分の子どもを虐待してしまう(世代間連鎖)
- 依存症や嗜癖行動をとめられない
- 人生全般に対する不全感がある
精神障害を発症しやすい
虐待などの機能不全家族のもとで育つとPTSDやうつ病や依存症などの精神疾患にかかる確率が高くなります。
自己否定的で自信がもてない
子どもは夫婦の不和や虐待を自分のせいだと考えてしまう傾向があります。自分のことを肯定的にみることができなくなり、自信を持ちづらくなると思います。
良好な人間関係がもてない
自己否定的で、特有な関係性を親や家族ともってきたアダルトチルドレンは、家族以外の他者とも良好な人間関係を築くことが苦手な人が多くいます。
自分の子どもを虐待してしまう(世代間連鎖)
虐待の連鎖は問題視されています。自分が育てられたように、子どもを育てることが多くなることが分かっています。気づいたら自分の親と一緒なように、虐待をしてしまっているということがあります。
依存症や嗜癖行動をとめられない
不安定さが依存や嗜癖行動にはしらせます。見方によっては、依存や嗜癖がその人の支えになっている可能性もあります。そのため健康的な対処法を身につけずに依存対象を遠ざけることはできません。もちろん、アルコールやドラッグなどの命に関わるものに関しては、しっかり医療的なケアを受ける必要があります。
人生全般に対する不全感がある
子どもにイライラしたり、精神的な不調が続いていたり、親しい人間関係を持てなかったり、アダルトチルドレンは様々な生きづらさを抱えています。人生全般に対する不全感を感じることが多く聞かれます。
問題にフォーカスすると、とても苦しくなるかもしれません。
過去の未解決の課題はカウンセリングを受けることで対処ができるようになると思います。ともすると、とても苦しく嫌な経験が、逆に自分の糧となり、自分らしく生きるために必要なこととして捉えなおすことができるかもしれません。
アダルトチルドレンに関する研究
最後に、アダルトチルドレンの子ども時代の特徴や役割を分類した先行研究があるので紹介します。
- アダルトチルドレンの種類
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- ヒーロー
- スケープゴート
- ロスト・ワン
- プラケーター
- クラウン
- イネイブラー
ヒーロー
スポーツや勉強での優秀な成績などをとることで、問題から家族の目がそれて、一時的に関係性がよくなったり、問題が表面化しなくなったります。
スケープゴート
ヒーローの真逆。家族の中で問題を起こしたり、ダメな自分を無意識的に演じたりします。これも家族の関係性の問題から目をそらすための方略と考えられます。
ロスト・ワン
そこにいないように振る舞う子ども。ひっそりと孤独で、家族の関係を断つことで自分を守ります。
プラケーター
家族の慰め役。夫婦ケンカの後に親をやさしくなぐさめてあげるような役割です。
クラウン
おどけて、場を和ませるようなことをします。周りからは楽しい人と認識されますが、その実、寂しさや孤独を感じていたりします。
イネイブラー
支え役。他人の世話ばかりをやく子どもです。成人してからもイネイブラーの役割になることも多く、共依存関係を築きやすいと思います。
これらは全て、家族関係を良くしようとしたり、自分自身を守るための子どもなりの方略です。
家族療法の考え方の一つにIPというものがあります。
問題行動や症状を個人の問題としてではなく、家族の関係性の一部として捉えます。
子供時代のアダルトチルドレンが担っている役割もそのように見ることができると思います。
おわりに
アダルトチルドレンという言葉の意味やその特徴、問題点について書いてみました。一時期、書籍なども多く出て、言葉として知っている方も多いかもしれません。
特徴から、「もしかしたら自分はあてはまるかも」と感じられた方もいると思います。回復や癒やしは、病態によっては医療のケアを受ける必要があるでしょうし、カウンセリングが効果を示すこともあるでしょう。
回復の方法やプロセスについては、こちらの記事に記載します。
アダルトチルドレンの方が生きづらさを改善し、自分のために楽しく生活していけることを願っています。
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