うつ病とは?症状〜種類、家族の関わり方について解説

うつ病の症状や治療法や家族の関わり方を解説します。「うつ病で通院中だけど、良くなってない」「家族がうつ病になったけど、関わり方が分からない」などうつ病やうつ状態で辛い、苦しいという方は参考にしてみてください。うつ病の回復の段階についての説明もしているのでぜひ最後までご覧ください。

うつ病とは

うつ病とは、気分の落ち込みや興味関心がなくなるなどの、「気分」に関する病気です。気分を感じたり作っているのは、脳なので、脳の病気ともいえます。

うつ病は、
だるさや頭痛やお腹が痛くなるなどの身体症状
眠りが浅くなったり、逆に寝過ぎてしまう
集中力がなくなったり、疲れやすい
自分を価値のないように感じる

などの様々な影響をもたらします。

一生のうちにかかる確率がとても高い病気で、自殺のリスクも大きくなり、程度によっては日常生活が送れなくなるほどの重い障害をもたらす怖い病です。

精神疾患の診断に使われるDSM-5では、少なくとも(1)抑うつ気分、または(2)興味または喜びの喪失 のどちらかがあること。その他、体重の変化や食欲の減退または増加、不眠や仮眠、疲労感、無価値感、思考力や集中力の減退、自殺念慮や自殺企図などの症状が挙げられています。

適応障害や気分変調症などの似たような症状の疾患との鑑別も重要で、専門医による医療ケアを受けることが大切なです。

うつ病の症状

うつ病の症状と脳内物質

うつの症状は、気分の落ち込み、興味・関心の減退、頭痛などの身体症状、食欲の減退や睡眠などの障害など多岐に渡りますが、多くが脳内物質の働きから説明できます。うつは、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンの3つの脳内物質がバランスを欠いた状態であり、様々な症状を呈します。それぞれ、セロトニンは安心感、ノルアドレナリンはやる気、ドーパミンは快の感情を引き起こします。これらのバランスが悪くなることで、気分が落ち込んだり、興味がなくなったり、楽しめなかったりするのです。

うつ病の診断基準

次に、DSM-5を参考に、うつ病の診断基準について紹介します。

A. 以下の症状のうち5つ以上が 2 週間存在して機能変化を起こしていること。
  ⑴抑うつ気分 ⑵興味・喜びの喪失 ⑶体重減少/ 増加、食欲減退 / 増
加 ⑷不眠 / 過眠 ⑸精神運動焦燥 / 制止 ⑹疲労感、気力減退 ⑺無価
値観、罪責感 ⑻思考力や集中力の減退、決断困難 ⑼自殺念慮、自殺
企図(症状には 1または 2 が含まれることが必要)
B. 症状により臨床的、社会的に障害を引き起こしている。
C. 物質の影響、他の医学的疾患によるものでない。
D. 精神病性障害(統合失調症および類縁疾患)ではうまく説明できない。
E. 躁病 / 軽躁病エピソードが存在したことがない。
(DSM-5® 精神疾患の分類と診断の手引きより引用)

うつ病の特徴

うつ病の特徴は「患者数と再発率の高さ」

うつ病は、誰でもかかるかもしれないメジャーな病気です。海外のデータでは生涯有病率は十数パーセントと言われています。10人に1人はかかる可能性があるということです。

うつ病の再発率は50%

うつ病は再発率がとても高いことが知られています。治療してせっかく治っても、50%の方が再発すると言われています。再発を繰り返す人がとても多い病気です。そのため再発予防がとても大切です。

うつ病の人の自殺リスク

うつ病に人は自殺リスクが高まることも知っておきたい特徴です。自殺を試みる人の多くが精神疾患があるというデータがありますが、その中でもうつ病の割合が半数近くあります。患者数が多いという理由ももちろんありますが、注意が必要です。

特に回復段階でリスクが高まることが指摘されているので、少し良くなってきたな〜という頃はより注意深くなければいけません。

うつ病の種類

うつ病はいくつかの種類に分けることができます。

  • メランコリー型
  • 非定型
  • 季節性
  • 混合性
  • 精神病性
  • 緊張病性
  • 周産期発症

しかし、一般には、医師からうつ病の種類まで告げられることはあまりないですし、その分類も難しいものがあります。

メランコリー型うつ病

興味や喜びの喪失がとても強く重い特徴があります。朝がしんどくて、夜になると軽くなったり、早朝に目が覚めるなどの特徴もあります。また、食欲がなくなる、動きが鈍いまたは動けない、強い自責感などがあげられます。抗うつ薬が効きやすいです。

非定型うつ病

典型とされるメランコリー型ではないという意味で、メランコリー型とは反対の特徴をしめします。対人関係の敏感さ、仮眠、食欲増進、他の人を責める、などの特徴があります。

季節性うつ病

秋から冬にかけてうつ状態になり、春には軽くなるというものです。

混合性うつ病

うつ病の基準をみたし、躁の症状があるものをさします。このタイプは後に、双極性障害や躁病などに診断が変更される可能性があるため、お薬の選択に注意が必要になります。

精神病性うつ病

うつ病の中でも重症度が高いタイプです。妄想や幻覚があり、現実を認識することに難しさがあります。

緊張病性うつ病

しゃべらなかったり声かけに反応がない、相手と同じ動作をする、相手に動かされた身体の体勢をずっと維持する、などの特徴があります。

周産期発症のうつ病

生まれたばかりの赤ちゃんにも影響するので注意が必要です。

うつ病の治療法

代表的なうつ病の治療法について紹介します。

うつ病の4つの治療法

うつ病の4つの治療法
  • 休息
  • 薬物療法
  • 心理療法
  • 運動療法

薬物療法は3つの脳内物質のバランスを保つためにはたらきかけるものです。

運動療法はうつの回復に効果があることが証明されています。具体的には有酸素運動で、ウォーキングなど無理のない自分にあった運動をすすめていきます。

日本うつ病学会による治療ガイドラインには、支持的精神療法が軽症、中等症・重症のうつ病に全例に行うべき基礎的介入として紹介されています。

重症度に応じた適切な治療が必要

適切な治療を受けるためには、うつ病の重症度をはかることはとても大切なことです。

一般に、抗うつ薬などの薬物療法は、中等度から重度のうつ病に効果がよくあり、軽症の人にはあまり効かないという特徴があります。

薬には副作用もあるので、飲まなくて治るなら、飲まない方がいいでしょう。なので、重症度によっては、服薬しないで治癒する方法を模索してもいいかもしれません。心理療法やカウセリングと薬物療法の併用なども効果が確認されています。

中等度や重度のうつ病や薬物療法が中心になります。種類や量を医師としっかり相談しながら治療を進めていきます。精神病性の重度のうつ病や自責感などから自傷の可能性が高い場合は入院治療の可能性も考える必要があります。

日本うつ病学会の治療ガイドラインでは、軽症から重症度まで前例に行うべき基礎的介入として、支持的精神療法と心理教育があげられています。その上で、適切な薬物療法やその他の治療法が推奨されています。

うつ病の回復

うつはどのように回復していくのかと考えると、ステップと順番がとても大切だと気づきます。3段階で分けるとこのような感じです。

うつの回復の3段階
  • ①安心感を得る
  • ②やる気が出てくる
  • ③楽しい活動ができるようになっていく

回復のプロセスの初期において趣味を楽しむや好きなことをやるは順番としては間違っています。効果がないばかりか自己否定的になることも考えられるので、まずはしっかり休み、安心を感じれるようにすることから進めていきます。具体的には、休息をしっかりとりながらリラクゼーション法とか安心を感じるイメージワークや支持的精神療法が有効でしょう。そして、無理にやる気を起こさせるのではなく、自然とやる気が出てくるのを待ちます。少しずつ行動できることが増えていく中で、やる気も大きくなってきます。行動していくと快を感じることも増えてくるでしょう。自分の気分を上げたり維持したりするのに役に立つ行動プランや選択をリストアップしておくのが役に立つのはこのタイミングです。当然、医師の判断により服薬が必要な場合は処方を守って薬物療法を行うことも必要なことだと考えます。

うつの回復には段階があり、急ぎすぎずに、そのステージあった治療や活動を進めていくことがとても大切です。食事や運動もうつの改善に影響します。生活全般を見直すきっかけになることも多いでしょう。

うつ病のカウンセリング

日本うつ病学会の治療ガイドラインには、軽症から中等度、重度の患者の全例に行うべき基礎的介入として、「患者背景、病態の理解に努め、支持的精神療法と心理教育を行うこと」が挙げられています。
※精神病性うつ病や思春期のうつ病に関しては、他の治療方法が推奨されています。

支持的精神療法とは、いわゆる受容や共感という言葉で表現されるようなカウンセリング と理解してください。すべての心理療法のベースとなるような関わり方です。

うつ病やうつ状態の多くに効果的な方法が、支持的精神療法であるということはとても大切な提言です。

病院に通院しているけど、なかなか治らないと感じている方は、平行してカウンセリングを 受けられることをオススメします。

当カウンセリングオフィスではうつの回復段階の理解をベースに、その段階にあった関わ り方でサポートしていきます。休息やホッと安心できる環境をつくることをお手伝いした り、原因と感じられる課題についても体調を見ながら、しっかりと向き合っていきます。ス トレス対処法の構築、コミュニケーションや人間関係の改善、過去のトラウマや傷つき体験 についてのケアを行っていくこともこれまで多くありました。外出が難しい方には、オンラ インでのカウンセリングやメールのカウンセリングなどもできます。

うつ病の人の家族が心がけたい事

家族が苦しんでいる姿は見たくありません。なんとか力になりたいと考える人が多いのではないでしょうか。

家族がうつ病になったら知っておきたいこと、心がけたいことをまとめてみました。参考にしてみてください。

心配しすぎない


気を使い過ぎず、普段通り接する方がいいと思います。心配や不安は伝播するので、逆に本人の不安を駆り立ててしまうこともあります。

励まさない


タイミングによっては、「頑張って」と声をかけてもOKですが、場合によっては、本人を追い込んでしまうことになります。できれば控えた方がいいと思います。

原因を追求しない


原因探しより、目の前の問題や状況の解決を目指す方が本人のプラスになると思います。

大切な決断は気持ちが安定しているときに


精神的に不調のときに、会社を辞めるとか学校を辞めるとか、重大な決断はシない方がいいでしょう。うつの家族が重大な決断をしようとしているときは、優しく引き止めるようにしましょう。

ゆっくり休んでもらう


精神的なエネルギーが戻ってくるまで、ゆっくり休養が取れるように配慮することが大切です。休養が回復の一歩になります。

本人の話に耳を傾ける


批判や否定はひとまず脇に置いておき、本人の話をじっくり聞いてあげてください。アドバイスや説得は禁物です。

じっと待ってあげる


これまで説明したように、うつ状態のときは決断力や認知機能が落ちています。今すぐ判断しなくていいものは、先送りするようにしましょう。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

うつ病の症状や特徴、治療方法や家族の関わり方など、うつ病やうつの状態についてたくさんの情報をお伝えしてきました。

身近な病気であるうつ病の理解が深まり、うつ病に苦しんでいる人や家族の役に立つ情報であることを願っています。

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