恥について

2019年4月12日

恥の役割

人の感情には様々なものがあります。嬉しい、楽しいというものから、怒りや不安や恥のようなものまでそれこそ様々です。

感情はもともととても適応的なもので、人が生きていく上で欠かせない役割を担っています。それは、怒りや不安などのネガティブに捉えられがちな感情においてもです。

例えば、適応的な怒りは、侵入的であったり自分をないがしろにする相手に対して感じることで、自分を守る役割があります。

不安を感じなければ、人はもっと多くの失敗をすることになるでしょう。不安を感じるからこそ入念な準備や困難に先回りして対処することができます。

しかし、感情が逆に生活の邪魔になることがあります。特に精神疾患や生活のしづらさに関連が高い感情として、「恥」があります。

この恥について少し詳しく見ていきたいと思います。

適応的な恥の役割として、ルールを守るという面ではとても役に立つ感情です。規律や規範に厳しい社会において恥の感情が強く現れます。そう考えると文化的なものとの関連が強い感情でもあり、とくに日本の文化は協調的だからこそ恥を感じやすいといえます。

恥に向きあい、克服する

恥があることで生活や行動に制限がかけられることはとてもたくさんあります。恥の感情に向き合っていくことで、自分の価値観に気づき、行動の選択肢を広げ、自分の望む人生を送る可能性を高めることができるでしょう。

しかし、この感情は基本的な感情のため、気づくこと、向き合うことの難しさがあると感じています。そもそも多くの方にとって、気づきたくないし、向き合いたくないものでもあるからです。

例えば、虐待やネグレクトなどの幼少期の養育環境からくる植え付けられた恥の感情も見過ごせません。多くの不適応な恥の感情はこのような過去の辛い経験からくるものが多いと感じています。

カウンセリングの現場においてこの恥をどう扱っていくのかということはとても大切なテーマです。感情についての理解を深め、押し寄せる強い感情に耐えるだけの心的な強さを構築していくことが最初の一歩かもしれません。感情処理のスタイルや質を見ていくことも必要でしょう。一人ではなくカウンセラーとの二人三脚で向き合っていくことで効果的に進めていくことができると思います。

恥についてとても参考になる書籍があります。お茶の水女子大学の岩壁茂先生によるその名も「恥」。とても分かりやすく感情や恥について書かれてあるので興味のある方はぜひ参考にしてみてください。

参考
恥(シェイム)…生きづらさの根っこにあるもの (アスクセレクション 2)