自己肯定感の高め方とその弊害について解説。自己肯定感への執着はマイナスがある?!

自己肯定感の高め方について解説します。自己肯定感の低い原因や低いとどうなるか。自己肯定感が高いことの影響についてもお伝えします。そして、自己肯定感の弊害についてもお伝えしているので、いろんな視点で、自己肯定感というものを知れるきっかけになると嬉しいです。

自己肯定感の意味

まずは、自己肯定感の言葉の意味についてお伝えしていきます。

wikipediaに記載の定義を見てみると、

自己肯定感:自らの在り方を積極的に評価できる感情、自らの価値や存在意義を肯定できる感情などを意味する言葉であり、自尊心(英語: self-esteem)、自己存在感、自己効力感(英語: self-efficacy)、自尊感情などと類似概念であり同じ様な意味で用いられる言葉である

自尊心:心理学的には自己に対して一般化された肯定的な態度である。英語のままセルフ・エスティーム(英: self-esteem)とも呼ばれる。

他にも、心理学者がそれぞれに定義しています。

心理学の研究は欧米で盛んに行われており、日本語の自己肯定感に類するものは、self-esteemとして研究されていることが多いでしょう。

self-esteemは日本語訳では、「自尊心」となります。

日本語にすると、自尊心と自己肯定感は少し違うニュアンスで捉える人もいるかもしれません。

ここでは、セルフ・エスティーム(self-esteem)を広く自己肯定感と捉えてお話していきたいと思います。

自己肯定感チェック

自分の自己肯定感を簡単にチェックできるツールをご紹介します。Mimura & Griffithsによって2007年に発表された日本版RSESという自己肯定感のアセスメントツールです。客観的に自分自身を振り返るきかっけになります。

質問は4件法で、以下で加点していきます。

1=強くそう思わない
2=そう思わない
3=そう思う
4=強くそう思う

得点が高いほど自己肯定感が高いと判断されます。

1私は、自分自身にだいたい満足している。
2時々、自分はまったくダメだと思うことがある。
3私にはけっこう長所があると感じている。
4私は、他の大半の人と同じくらいに物事がこなせる。
5私には誇れるものが大してないと感じている。
6時々、自分は役に立たないと強く感じることがある。
7自分は少なくとも他の人と同じくらい価値のある人間だと感じている。
8自分のことをもう少し尊敬できたらいいと思う。
9よく、私は落ちこぼれだと思ってしまう。
10私は、自分のことを前向きに考えている。

25点で平均くらいです。

参考
Rosenerg自尊感情尺度の信頼性および妥当性の検討

自己肯定感が低い原因

自己肯定感が低い原因はいくつか考えられます。その一部をご紹介していきます。自分に当てはまることがあるかチェックしてみてください。

家庭環境

養育者との良好な情緒的な交流があったかどうかはとても大切です。愛着と呼びますが、無条件で愛され、守られる幼少期の経験は自己肯定感に影響すると思います。

家族以外の他者との関係(友人、先生など)

家族以外の人間関係もとても大切でしょう。いじめや理不尽な関係性を経験すると、自分を工程することが難しくなるかもしれません。

遺伝的要因

自己肯定感を感じにくいという遺伝子があるかどうかは知りませんが、例えば、不安の感じやすさや繊細な感性、ネガティブな思考のしやすさなどは遺伝が影響していることがあります。

当てはまることがあっても自己肯定感に影響していない人もいるでしょうし、とても強い影響を受けている人もいるでしょう。

気質や性格的なことも影響していますが、きっかけや原因として、他者や社会が影響しているということに気づいてもらえるといいと思います。

自己肯定感が低いとどうなるか

自己肯定感が低いと行動や考え方に様々な影響を与えます。

例えば、

人からの承認を過度に求めてしまう。そして、そのために無理して頑張ってしまうかもしれません。

完璧主義で、理想と目標が高い傾向があるかもしれません。自分にだけではなく、人にも完璧さを求めてしまい、人間関係に負の影響があるかもしれません。

自己肯定感が低いがゆえに、他者よりも常に優位になろうとするかもしれません。他者よりも優位であることで、自分の価値を確認するのです。

同じ理由で、自分の価値を感じるために、人を過剰に援助しようとするかもしれません。
人を助けようとすることは好ましい行動ですが、何事も過剰であることはおすすめできません。

自己肯定感が低いために起きる直接的な事象は、自己非難、自己否定だと思います。これはとてもつらいものです。

他にもこのような影響が考えられます。

自己肯定感が低い影響
  • 不安や怖れを持ちやすい
  • 自信がない
  • 自分を否定する
  • ネガティブな思考になりがち
  • 他人の評価を気にする
  • 自信や軸がないから落ち込みやすい
  • 他者の意見を聞くことができない
  • 他者に対して批判的傾向
  • 人との違いを認められない
  • 生きづらさを感じている
  • 安定した人間関係を築けない
  • 失敗を過度におそれる
  • 自分を正当化しないと不安
  • 自分の考えが言えない
  • 罪悪感を持ちやすい
  • 自分の人生は他人に決められている感覚

参考
職場の人間関係は自己肯定感が9割

自己肯定感が高い人

では、自己肯定感が高い人はどんな人でしょうか。

ざっとその傾向をあげていきたいと思います。

自己肯定感が高い影響
  • 自分に対して自信や安心感がある
  • 周りに振り回されない
  • ポジティブな見方ができる
  • 自然な意欲で行動に移せる
  • 自分を肯定的にみられる
  • 余裕があるので、他者も肯定的にみられる
  • 自分も他者も尊重できる
  • 人との違いを受け入れられる
  • 感情が安定している
  • 失敗から学び、成長の糧にできる
  • 他者の意見を聞くことができる
  • 人の評価に振り回されない
  • 良好な人間関係を築きやすい
  • 自分の考えを言える
  • 自分の人生は自分で決めている感覚

自己肯定感の高め方

自己肯定感を高めるヒントをいくつかお伝えしようと思います。

小さな目標設定と達成

自分で目標を決めて、それを1日の中で達成していきます。とてもささいなことでもOKです。というか、ささいな目標じゃないと、1日の中で達成できないと思います。

例えば、

5分だけ家の掃除をする
食べたいものを食べる
エレベーターを使わずに階段を使う

日常でできる小さな目標を毎日達成していきます。続けることで自己肯定感を育めます。

他の人が喜んだり、役に立つことをする

これはとても強力な方法だと思います。絶大な効果が期待できます。自分のことはひとまず置いておき、周りの人が喜ぶようなこと、貢献できること、役に立たとうとすることを行動に移してみてください。

効果はやってみて、ぜひ自分自身で感じてみてください。

他者からの評価

他者からの評価を積極的にもらってください。マイナスな評価ではなく、ポジティブでプラスの評価です。そういうことを言ってくれる人を探す必要がありますね。

なかなか見つけられなかったら、先に書いた、「他の人が喜んだり、役に立つことをする」は、まさにポジティブな評価を得るために手っ取り早い方法でもあります。ぜひ合わせてやってみてください。

セルフコンパッション

セルフコンパッションとは、困難な状況において、苦しんでいる自分に対して優しさと思いやりをもって接する態度のことです。

この力は、ワークや瞑想などで高めていくことができます。参考になる書籍を紹介するので、試してみることをおすすめします。

参考
セルフ・コンパッション―あるがままの自分を受け入れる

自分の強みを知る

あなたには強みがあります。必ずあります。自分の強みを自覚することで、自ずと自己肯定感が高まっていくと思います。「すでにある自分の強みは何かな〜」と探すことを楽しんでやってみましょう。今から強みをつくるのではなく、すでにある、ということがとても大切なポイントです。

その強みは、自分にとっては当たり前過ぎて、自分では気づかないこともあります。周りの人に聞いてみるのも一つですね。

自己肯定感と幸福感

自己肯定感と幸福感に関連はあるのでしょうか。とても面白い研究があります。

自己肯定感が高い人は自分を幸福だと感じる傾向にあるのですが、自己肯定感を高めたからといって、必ずしも幸福にはならないと主張している研究です。

自己肯定感と仕事や学業成績には、関連がないことが指摘されていたり、自己肯定感と良好な人間関係には相関がないとされています。

幸福になるために自己肯定感を高めようとすることの弊害もあるようなので、自己肯定感と幸福感は別物として考えてみるのがよさそうです。

参考
自尊心からの解放: 幸福をかなえる心理学

自己肯定感が高いことの弊害

自己肯定感に執着すると、幸福感が下がる可能性があります。

他者評価が自己肯定感を高める側面はありますが、他者からの評価は自律性がありません。自律性とは、自分で自分の行動を決められることで、幸福感に必要な要素の一つとして挙げられています。

自分がやりたいことではなく、自己肯定感のためにやらねばならないことがあったり、自己評価を高めるために人間関係が二の次になってしまうことがあります。

高い自己肯定感を維持するために、低い目標設定や簡単な課題を選ぶために能力も伸びないということが起こりえます。

自己肯定感を高めることに執着しすぎても良いことはあまりないようです。その意識が強い場合は、少し立ち止まって他の方法を探してみた方がいいかもしれませんね。

おわりに

いかがでしたでしょうか。自己肯定感について、その高め方、弊害についてなど、いろんな角度からお伝えしてきました。何かの参考やヒントになれば幸いです。

自己肯定感の低さからくる大変さや生きづらさの解消は、一人で行うこともできますが、慣れていないと難しさを感じたり、上手く出来ないこともあります。そんな時は、プロのカウンセラーのサポートがとても役立つと思います。

金沢心理カウンセリングルームJONでは、石川県金沢市で対面でのカウンセリングを行っております。最寄り駅は金沢駅になります。また、オンラインカウンセリングも受け付けておりますので、どうぞご利用ください。

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