場面緘黙の子どもと親へのサポートガイド!コミュニケーションの壁の乗り越え方

場面緘黙とは

場面緘黙(かんもく)とは、特定の状況下で、ほとんどまたは全く話すことができなくなる状態で、「選択性緘黙症」や「選択性緘黙」ともいわれます。しかし、決して自分の意思で選択しているわけではありません。

場面緘黙は、不安症の一つです。発達障害や神経発達症ではありません。社交不安症との合併がよくみられます。

特定の状況とは、学校、幼稚園、職場など、人前で話す必要がある場所です。場面緘黙の子どもは、話すことができない状況になると、緊張したり、不安になります。心身への影響として、顔を赤くしたり、汗をかいたり、手足が震えたり、まったく動かなくなったりなどもあるかもしれません。場面緘黙の子どもは、話すことができないせいで、学校や幼稚園に行けなくなったり、友達と遊べなくなったり、社会生活に支障をきたすことがあります。

場面緘黙の原因

場面緘黙の原因は、完全には解明されていませんが、遺伝的な要因と環境的な要因が複合的に関係していると考えられています。

不安を感じやすい脳の特性が根本の原因として考えられます。

さらに、話さないことで不安を回避することが続くと、状態が固定化されて、場面緘黙になってしまいます。

もちろん、その他の不安症や自閉スペクトラム症を合併することもあるでしょうし、うつや統合失調症から話さなくなることもあり、場面緘黙との鑑別がとても大切になります。

場面緘黙の症状

DSM-5では場面緘黙の症状は、以下のように規定されています。

  • 特定の状況下で、ほとんどまたは全く話すことができない。
  • 話すことができないことで、学業、職業、人とのコミュニケーションを妨げている。
  • 1ヶ月以上、維持されている。
  • コミュニケーション障害(例:小児発症流暢症)ではうまく説明され ず、また自閉症スペクトラム、統合失調症、またはその他の精神病性障害の経過中にのみ起こるものではない。

人は不安を感じるとさまざまな症状がでてきます。出方は人によるのですが、以下のようなものがあります。

頭が痛い、お腹が痛い、母親と離れら れない、怖がりすぎる、パニックになる、確認行動が増え る、声が出ない 、身体が固まる

その中で、「声がでない」が場面緘黙として認識されます。身体が固まる症状は緘動(かんどう)と言われます。

場面緘黙の診断

診断は、医師によって行われます。診断には、以下の方法が用いられます。

  • 問診
  • 観察
  • 検査

検査には、SMQという質問紙による検査があります。

臨床心理士や公認心理師は診断はできませんが、見立ては行えます。

場面緘黙の治療

場面緘黙の治療には、行動療法のアプローチが効果があるとされています。

リラクゼーション法と段階的なステップを踏んで、発話を促していきます。

そのため、親や学校などの協力がとても大切になります。

不安症の一つであり、薬物療法なども考えられますが、対象が幼児や低年齢のお子さんであれば、薬物使用はなされないことが多いでしょう。薬物の使用は医師と相談し慎重さが求められます。医師にもよりますが、子どもへの処方に否定的な方もいらっしゃいます。

子どもへのサポート

場面緘黙の子どもをサポートするためには、親の動きが非常に重要になります。

  • 子どもに安心と安全な環境を提供する。
  • 子どもが話せるように、多くの機会を与える。
  • 段階的なステップを踏めるようにその機会を調整する。
  • 子どもを褒める。しかし、褒めるポイントを間違えない。間違えると緘黙を強めてしまう可能性があります。
  • 学校や保育園など、外部に理解と協力を適切に求める。

それぞれにポイントがあり、工夫や小技が必要になります。

先回りしたり、代わりに答えたりすることは、緘黙を強化してしまい、改善から離れてしまうので行ってはいけないことです。

当カウンセリングルームでは、どうすればいいかということを親へのコンサルテーションの中で具体的に提案しています。

親へのサポート

このコラムを見ている方は、実際に場面緘黙のお子さんをもつ親御さんが多いと思います。

場面緘黙の子どもを持つ親は、とても不安になるものです。しかし、子どもの成長を信じ、サポートすることが大切です。親の関わり方やサポートによって、緘黙が改善するかがかかっています。

  • 不安や緘黙の理由やメカニズムを理解する。
  • 発話を促す関わりを行い、場面緘黙を強化する関わりは絶対にしない。
  • 家族や親戚や学校などに、改善のための協力を得られるようにアプローチする。

以上の3つのポイントはとても大切です。

場面緘黙の子どもの将来

場面緘黙の子どもの将来は、早期に適切な治療を受ければ、ほとんどの子どもが話せるようになります。しかし、中には、緘黙が長期にわたって続く場合もあります。このような場合でも、子どもの成長とともに、症状は徐々に改善していくことがあります。

子どもの将来を明るくするためには、早期に適切な治療を受けることが大切です。また、子どもの成長を信じ、サポートすることが大切です。子どもの将来は、親や周りの人の理解とサポートによって大きく変わってきます。

おわりに

いかがでしたでしょうか。場面緘黙では、無理に発話を促すをことは避けた方がいいという主張もあるかもしれませんが、適切な介入と発話を促す機会がないと、緘黙がずっと続いてしまいます。

当カウンセリングルームでは、場面緘黙のお子さんや親御さんをサポートします。発話を促すための介入とポイントを親御さんにお伝えしています。

ぜひお気軽にお問合せください。
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