自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害の特性や接し方を解説

2019年7月29日

自閉スペクトラム症
自閉スペクトラム症

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)の症状や特徴について解説します。特にASDの家族や子どもとの接し方に疑問や苦労を感じている方はぜひ参考にしてみてください。

診断される人が増えている自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)。スクールカウンセラーとしての公立学校での勤務においても顕著に感じています。発達の課題から学校生活の困難さがあり、登校しぶりや不登校になる生徒が増えている印象です。自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)は、他の精神疾患との併存率も高く、当事者の大変さは大きなものがあります。

自閉スペクトラム症とは

自閉スペクトラム症とは、精神疾患の診断基準が記されるDSM-5では、以下の2つの基準が採用されています。

  • 社会的コミュニケーションおよび対人的相互作用における持続性の障害
  • 行動、関心、活動の限定された、反復的なパターン

スペクトラムというのは、重度から軽いものまで、特性の程度によって帯状になっている様を表しています。同じ診断でもその特徴は千差万別で、当然ながら対策も各人にあった方法を考えていく必要があります。

自閉スペクトラム症はこころの問題ではなく、脳の問題です。原因についての研究は進んでいますが、結論が出ているわけではありません。ただ、遺伝的なこと、環境要因、原因となることが重なりあって発現する、などその関連性が指摘されています。

診断はおもに行動観察からされますが、脳などの生物的な特徴から診断ができることが期待されています。

自閉症スペクトラムの人のコミュニケーション

コミュニケーションや社会性に影響する自閉スペクトラム症の特徴は以下のようなものがあります。

  • 人より物に関心や注意が向く
  • 人と目を合わさない
  • 不安になりやすい(情動を司る扁桃体とう脳の部位が大きい特徴がある人もいる)
  • 情報の統合が苦手(身体の各部位で得られる感覚刺激を統合して、判断することが苦手)

日常生活で障害となりえない軽いものであればいいかもしれませんが、周りとうまく付き合えないことで、いじめや不登校などの二次的な困難に苦労している人も多く見られます。

反復的なパターンや行動

自閉スペクトラム症の方は反復的なパターンや行動が見られることがあります。同じ行動や行為を何度も繰り返すというものです。知的発達の遅れが目立つ方や知的発達の遅れが目立たない方でも幼少時によく見られます。年齢が上がるとともに、社会的活動やより知的な活動に移っていき、このような常同行動が見られなくなります。

反復的なパターンや行動の例
  • 手を叩く、指をはじく、手をひらひらさせる、身体を揺らす、顔をしかめる
  • 小銭を回す、おもちゃを一列に並べる
  • 同じ洋服を着る、同じ道しか通らない
  • 耳にした言葉のオウム返し

感覚処理の問題

自閉症の人のかなり多くの方が感覚処理の問題を抱えている傾向があります。そして、そのことは日常生活に大きな影響を与えています。

自閉スペクトラム症の人は、刺激に過剰に反応することがあれば、シャットダウンするようにボーっとする、つまり反応不足になることもあります。全く逆の問題のように見えるこれらのことは実は一つの理由によるものだという仮説があります。

それは、情報を過剰にそして強烈に受け取っているという感覚処理の問題ということです。脳が受け取る感覚情報が多すぎることで、圧倒されパニックになったり、シャットダウンするのです。

自閉症の人が、人とうまく付き合えなかったり、引きこもったりすることは、共感の欠落や相手の立場にたって考える能力の不足や情動性の欠落の結果として起こるのではなく、まわりの世界を強烈に感知してしまう結果として生じていることかもしれない、と唱えている研究者もいます。

自閉スペクトラム症の強み

弱みやマイナス面だけではなく、強みにフォーカスすることも必要

個人は障害や疾病でひとくくりにされるものではなく、各個人の強みや弱みは千差万別です。したがってあくまで傾向ということで自閉症スペクトラムの方の強みをみていきます。それは、全体ではなく、細部に注意を払えるということだと思います。純粋なパターンを認識するのが得意で、その特性は社会や仕事に活かせるものです。

例えばエンジニアや研究者、繰り返しのパターンが決まっている作業的な仕事にも適正があるといえます。細部に注意を払えるというのは、情報を統合できなかったり、空気を読んだりすることが苦手などの弱みでもありますが、強みとしても認識できるものだと思います。

探してみると他にもたくさん見つけることができるかもしれません。ぜひ楽しみながら強み探しをしてみてください。

自閉スペクトラム症のカウンセリング

対象者の年齢によって当然関わり方やカウンセリングの内容が変わってきますが、まずは、アセスメントから、強みや弱みを言語化していきます。日常生活でトラブルがある場合は、そのことを題材にして、予防や対策を検討していくこともします。うつなどの他の問題がある場合は、そのことへの対処を優先させることもあるでしょう。

また、当事者のカウンセリングとともに、私は、家族のケアをとても大切にしたいと考えています。自閉スペクトラム症はコミュニケーションが困難な場合があるので、子育てでとても苦労することが多いです。子供だけではなく、親、配偶者などさまざまな関係性で自閉スペクトラム症と付き合っている家族がいるでしょう。周りの家族自身がしっかりケアされていることはとても大切です。

自閉スペクトラム症の家族との接し方

自閉スペクトラム症の子どもや家族を観察して、行動の原因と結果をできるだけ詳細に理解しておくことが接し方の指針を与えてくれます。

応用行動分析、ABAという方法論が参考になります。

かんしゃくや攻撃的な言動など、周りが困る行動が合った際は、その前後をよく観察してみます。何がきっかけか、その結果どうなったかを観察、そして推測していきます。

できれば記録をつけておくと整理しやすいでしょう。

環境を調整してストレスや行動問題を減らす

環境調整、つまり、よくない行動を減らすために、その刺激となる事柄を事前に排除していくことを心がけていきます。トライ&エラーで試してみて微調整していくスタンスが大切です。

よい行動を導いていく

他に出来ることとして、よい行動を強化していくための施策を考えていきます。例えばご褒美作戦です。ご褒美はモノに限らず、言葉や身体的な接触など、相手が喜ぶものを提供できるといいと思います。

おわりに

いかがでしたでしょうか。自閉スペクトラム症の特徴を紹介し、家族との接し方をお伝えしてきました。自閉スペクトラム症で困っている方のお役に少しでも立てることを願っています。

参考
自閉症の脳を読み解く どのように考え、感じているのか
自閉症スペクトラム 10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体 (SB新書)

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