家族の中で「本音」が言えないのはなぜ?精神的ケアにおける「対話」の重要性とメリデン版の視点

精神疾患や統合失調症、ひきこもりなど、家族の問題に悩む方へ。家族の中で「本音」が言えない理由、精神的ケアにおける「対話」の重要性、メリデン版訪問家族支援の視点を、臨床心理士・カウンセラーの視点から解説します。「家に入ってほしくない」と感じてしまう方や、家族のコミュニケーションに壁を感じている方も参考にしてみてください。

家族の本音が言えないのはなぜ?

「早く元気になってほしい」と、心の中では本当にそう思っているのに、口から出るのはため息や説教ばかり。

「家に入ってほしくない」と感じてしまう自分を、家族なのに、と責めてしまう。

ひきこもりが続く子ども、精神疾患や統合失調症と向き合う家族——近いはずの人ほど、家族の本音が言えないことが多いのではないでしょうか。

家族関係のカウンセリングを通して、私は限界や罪悪感を一人で飲み込んでいる家族の方を何度も見てきました。本音を言えないのは心が弱いからではなく、大切な人を想うあまり、傷つけたくない、関係を壊したくない——そんな思いから、言葉を選びすぎていることが多いと感じます。

しかし、家族の本音をずっと抑え続けると、家族の中に見えない壁ができ、精神的ケアや支援も、本当の気持ちも、届きにくくなっていきます。

家族の本音が言えなくなる理由

家族の中で本音が言えなくなる背景には、いくつかの要因が重なっていることが多いと思います。

ひとつは、病気の影響と本人の人格を分けきれないことです。統合失調症や双極性障害など、精神疾患のある家族に接する際、「今の言動は病気のせいなのか、本人の性格なのか」と区別がつかず、言葉を飲み込んでしまう方が多くいらっしゃいます。

病気を患っている人は悪くない、病気が悪い

もうひとつは、「家族だから我慢」「強くあるべき」という無言のプレッシャーです。ひきこもりや不登校の問題を抱える家庭でも、本音を抑えてしまう方が多くいらっしゃいます。とくに日本の家庭では、弱さや本音を表に出すことが苦手な風土もあり、家族のコミュニケーションが内に閉じやすい特徴があると感じます。

さらに過度な期待も関係します。健常な人にとって当たり前のことが、精神疾患の影響で難しい場合、期待の裏切りが怒りや失望につながり、本音どころか表面的なやりとりだけが続いてしまうこともあります。

家族療法では、問題行動や症状のある人を「患者の役割を担っている人(IP)」と呼びます。本人だけが焦点になると、他の家族の本音や負担が見えにくくなる——そんな構造も背景にあります。

本音を言えないのは、家族が悪いからではない

本音を抑え続けると、「言いたいことが言えない」→ 距離が広がる → 支援も本当の気持ちも届きにくくなる、という悪循環に陥りやすいと思います。「家に入ってほしくない」という本音さえ共有できなければ、関係はますます硬直していくでしょう。

精神的ケアにおける「対話」とメリデン版の視点

カウンセリングは、対話を通じて個人やグループに心理学的なサポートを提供する行いです。精神疾患や統合失調症のケアにおいても、言葉にすること・聞くこと・分かち合うことは、決して小さなことではないと感じます。

ここで紹介したいのが、メリデン版訪問家族支援です。英国バーミンガムの Meriden Family Programme に基づく家族支援技術で、精神疾患の本人だけでなく、家族を当事者と同等の支援対象として捉えます。

家庭への訪問を通じて、家族内の対話コミュニケーションのスキルを向上させ、家族関係の再構築や再発防止を目指すプログラムです。おおむね次の流れで進められます。

  • 家族アセスメント……一人ひとりの話を聞き、家族全体の状況を把握する
  • 情報共有……症状やその影響、再発の危険サインについて理解を深める
  • コミュニケーション・スキルトレーニング……伝え方・聞き方を練習する
  • 家族ミーティング……家族全員で話し合う練習をする
  • 問題解決のプロセス……家族内の問題や目標に取り組む

「本人だけを治せばいい」ではなく、家族全体をひとつのユニットとして支援する——このメリデン版の視点が、家族の本音が言えない関係をやわらげる鍵になると思います。

今日から試せる家族のコミュニケーション

専門のファミリーワーカーが訪問しながら支援するプログラムですが、今日から試せることもあります。

正論や説教ではなく、「今の気持ち」を言葉にしてみる。「本当は心配でつらい」「家に入ってほしくないと感じる自分がいる」——どんなに拙くても、家族の本音を言葉にすることが大切です。

「あなたを大切に思っている」というメッセージを伝える。精神疾患や統合失調症のある方は自責の念が強い方も多いと思います。ひきこもりの子どもにとっても、「家族はあなたの味方だ」という思いは、大きな支えになります。

家族ミーティングを短時間から試す。話す間は遮らない、正しさを争わない、15〜30分から始める——この3点だけでも、家族のコミュニケーションは変わり始めると思います。

最も大切なことは、一人で抱え込まないこと

統合失調症や精神疾患、ひきこもりのケアにおいて、家族のケアも本人のケアと同じくらい大切だと、私は考えています。家族だって人間です。よく頑張って対処してきたね、と、自分自身にもねぎらいの言葉をかけてあげてください。

結び

本音を言える関係は、一朝一夕には築けません。一度に全部は難しいかもしれませんが、対話の一歩が、家族のコミュニケーションをやわらげるきっかけになることもあります。完璧を目指さず、少しずつ取り組むだけでも、良い変化があると思います。

  • 家族の本音を言えないのは、大切な人を想うあまり言葉を選びすぎているからであることが多い
    精神的ケアにおいて、対話と家族のコミュニケーションの見直しは回復の大きな支えになる
    メリデン版訪問家族支援のように、本人と家族を同等の支援対象とする視点が大切

お知らせ

精神疾患や統合失調症、ひきこもりなどで、ご家族の支えに限界を感じている方へ。

金沢心理カウンセリングルームJONでは、メリデン版訪問家族支援を提供しています。専門の支援員がご自宅に伺い、ご家族に寄り添いながら、家族のコミュニケーションや日々の関わり方を一緒に考えていきます。本人を無理に変えようとするのではなく、ご家族が安心して関われるようにサポートするプログラムです。

まずは無料相談から。ご相談だけでも大丈夫です。無理な勧誘は行いません。

メリデン版家族訪問支援の詳細・無料相談はこちら

石川県金沢での訪問に加え、オンライン相談にも対応しています。全国からのお問い合わせもお受けしています。

この記事をシェアする