摂食障害のカウンセリング(効果的な心理療法について)

2019年8月7日

摂食障害の治療法の第一選択は心理療法・カウンセリングです。低体重は命に関わるため、必要に応じて内科的な処置は行わなければいけないですが、健全な食行動の治療には心理的な支援が必要となります。そこで今回は、摂食障害に効果のある心理療法・カウンセリングについてご紹介していきます。

第一選択とはいえ、摂食障害(神経性無食欲症)に統計的に効果が証明されている治療法はないのが実情です。しかし、様々な試みの中で回復に向かうケースももちろんあります。

摂食障害の種類によって治療法が違います。種類に関しては、こちらの記事も参考になさってください。
摂食障害のカウンセリング(障害の種類)

摂食障害の認知行動療法

認知行動療法は、考え方や捉え方などの認知面や行動を適応的なものに変化することで、問題を解決していく心理療法です。摂食障害の方の不適応な考え方やボディイメージを適応的なものに変容していきます。

また、飢餓状態や食行動の異常が多くの生理的、心理的な状態像を引き起こしていることを学ぶことはとても有益です。体重減少が一定のレベルで起きると、常に食べることを考えたり、食物に関する強迫観念を抱いたり、過食・嘔吐したり、重度の抑うつやイライラや怒りの爆発、自傷行為などが見られるようになります。これはまさに摂食障害の方に見られる特徴と一致します。つまり摂食障害で見られる多くの症状は飢餓状態や食を制限していることで引き起こされていると理解することができます。

以下に認知行動療法において行われるポイントを記載します。
・自己理解
症状や食事や生活リズムについての記録、何に困っているのか、文化的な影響など
・心理教育
症状そのものについて理解を深めていくことが治療のモチベーション維持にも必要です。
・問題解決
問題を明らかにして、解決法を実践し、修正していく。このプロセスを実際に行っていきます。
・維持と再発予防
状態を自覚するためのモニタリング、その時の対処法をあらかじめ考えておくなどが肝要です。

扱うテーマは、自動思考、不適応的な認知のスキーマ、気分のコントロール、対人関係、自尊心や自己肯定感、ボディイメージに関すること、など様々な領域に及びます。

摂食障害の対人関係療法

対人関係療法は、重要な他者との現在の関係に焦点をあてる心理療法です。悲哀(重要な他者との別れ)、役割期待のズレ、役割の変化、対人関係の欠如の4つの領域に分類し、いずれかにフォーカスして取り組んでいきます。いずれも現在の対人関係に焦点化します。

直接、食行動や症状に焦点をあてることはしませんが、認知行動療法と同等か長期で見た場合それ以上の治療効果があるとされています。

ストレスと症状を関連付け、そのときの対人関係上の出来事とその時の感情にフォーカスしていきます。

摂食障害の家族療法

家族療法は、様々な学派や方法に別れますが、患者だけではなく、家族全体の 家族に対する心理教育や関わり方のトレーニングなども含めて有効な方法です。特に児童思春期においては、家族療法は有効な介入方法とされています。

家族療法の技法や流派も本当にたくさんあるのですが、拒食症に効果の確認されているものがいくつかあります。

家族関係に焦点を当てる方法は、家族間の力関係やコミュニケーションのパターンなどを観察し、必要な介入を行っていきます。一方、食行動に焦点を当てて再養育するように家族に求める方法もあります。家族を資源として積極的に位置づけ、治療の主体として関わってもらいます。

まとめ

摂食障害は致死率が非常に高い精神疾患ですが、さまざまな回復のための方法が実践されています。そして寛解に至るケースも多く報告されています。諦めずに良い治療者と出会い、できれば家族も含めてこの病気と取り組んでいき、希望する未来をつかんでいってもらいたい。

私自身がカウンセラーとしてできることは多くないかもしれませんが、知識や技術がお役に立てるようにこれからも研鑽に励んでいこうと思います。この記事を書きながら改めて感じたことです。今、しんどさや苦しさを感じている当事者・家族の方はよろしければぜひご相談をいただければと思います。

参考
摂食障害治療ガイドライン
摂食障害 (エビデンス・ベイスト心理療法シリーズ)