こころが楽になる家族療法の考え方 「誰が悪いの?誰が原因なの?」からの解放

2018年12月10日

家族療法はやさしい心理療法

家族療法の考え方として、とても重要で大切なものを一つあげるとすると、関係性を円環的に捉えている点だと思います。

例えば、夫婦間での仲たがいがあるとします。
夫は、妻の原因不明の不機嫌のせいで家庭の雰囲気が悪くなり、自分もイライラする!と思っています。
妻は、夫の無神経さや無理解のせいで家庭の雰囲気が悪くなり、自分もイライラする!と思っています。

夫からすると妻が悪いとなるし、妻からすると夫が悪いとなります。
直線的な因果論の世界観では、これ以上、話は平行線です。

これでは、どちらかが折れるまで、対立は続くことになります。

しかし、家族療法では、関係性はあくまで2人で作り上げているものであって、
どちらかが一方的に悪いといえるものではない。

どちらも互いに影響しあっていて、その関係性は直線的ではなく、円環的であるとみます。

よく例えられる、卵が先かニワトリが先かの問題と同じです。

改善すべきは、「誰」という人ではなく、
関係性そのものであったり、コミュニケーションのパターンに着目していきます。

決して誰が悪いというように、一方的に決めつけて断罪するものではないということです。

 

患者の役割を担っている人

また、家族療法では、問題行動のある家族や疾患をもつ家族のことをIPと呼びます。
IPは アイデンティファイド・ペイシェント(identified patient) の略で、
これは「患者とみなされている人」、
あるいは「患者の役割を担っている人」
という意味です。

つまり、問題行動や症状がある人は、患者ではなく、
「悪者の役を担っている人」 と捉えます。

 

家族システムについて

次に、家族システムという考え方について紹介します。

家族療法では、家族の関係性を一つの大きなシステムとして捉えて、そのシステムに介入していきます。
問題行動や症状がある人に直接的に介入するのではないということです。

結果として、副次的に問題行動や症状が減っていくという考え方です。

家族システムには、夫婦関係、親子関係、兄弟(姉妹)関係など、さまざまなシステムが複合的に絡み合っていて、全体で家族というシステムを作り上げていると考えます。

また、その家族システムは、学校などの地域のコミュニティにも影響されるし、父の職場という一見関係ないシステムも家族に影響を与えるものであり、また自治体や国などのより大きなシステムにも内包されるものでもあります。

 

家族療法の具体例

私自身はこの家族療法の考え方がとても好きです。
関係性を円環的に捉えるので、誰かのせいにしないし、誰かを一方的に責めない。
つまり、原因探しや悪者探しをしない。
それは、家族みんなにとって、とてもやさしい心理療法だと感じるからです。

家族療法が効果的な事例の具体例として、摂食障害や不登校、または子どもの荒れなど、子どもがIPとなるケースが多く存在します。

そのような場合、子どもに直接的に介入するのではなく、例えば夫婦関係の改善であったり、親の子どもへの接し方やコミュニケーションのスタイルの変化によって、症状が緩和されたり、問題行動が消失するケースが多く報告されています。

また私自身の臨床の経験からも、実感していることです。

 

日本カウンセリングオフィスでは、家族の問題において、家族療法の考え方をカウンセリングに取り入れて行うことがあります。

それは、一人で行うカウンセリングであってもです。家族システム論の観点を用いると、一人の変化が家族全体に影響を及ぼしていくということがイメージできると思います。

 

※注意)円環的な考え方の例外として、DV(ドメスティック・バイオレンス)について紹介しておきます。DVを円環的な関係性の中で捉えることはとても危険なことで、絶対に行ってはいけないことです。